ボディジェクト指向(2018)
VIMEO
TEXT
身体と言ってみたところで、何よりもまずはそれはオブジェクトのことであり、そのオブジェクトの上に「body」という名の、なにやら特別なラベルが貼られているだけなのだ、と考えてみる(それは、認知心理学の世界では「身体所有感」と呼ばれるような感覚的対象である)。そうであるならば、僕たちは誰であれ、その「body」ラベルを首尾よく剥がすことさえできれば、「オブジェクトとしての身体」にアクセスすることができるだろう。しかし、簡単な実験をしてみることで誰でもすぐにわかることだが、この「body」という名のラベルは、なかなかの厄介者で、どのような接着剤をもってしても叶わないような強力な吸着力で、オブジェクトにベッタリと張り付いてしまっている。そのようなかたちで、僕たちの身体は、周囲の物体に溢れた風景から隔離され、身体の牢獄の中で、身体という特別な役回りを演じ続けることを強いられるのだ。
本作は、そのような原理的な分離不能性を宿命づけられた「bodiject = オブジェクトとしての身体」へとアクセスするための、一つの体験装置として(結果として)試作さ(せら)れたものである。
TWITTER
台風のため県芸の展示は明日まで。泣いても笑っても気持ちわるくなっても、ボディジェクト指向は明日までだよ。 pic.twitter.com/iX4MGYsSJ0
— 「」kenrikodaka (@kenrikodaka) September 28, 2018
Caption
Bodiject-oriented is a media installation designed to give viewers an experience of “bodiject” (body as object). In this work, a single double-sided mirror vertically divides a flat display into two left and right planes; the body-image plane and the object-image plane. Some deformed fingers are shown from the body-image plane and some vegetable sticks are shown from the object-image plane, where they are continuously operated by someone’s hands in a loosely synchronized manner. This kind of parallel observation enables viewers to detach ownership from their physical body.
CATEGORIES
PROJECT MEMBER
小鷹研理
ACTIVE YEAR
2018-2019
AWARD
審査委員会推薦作品(第22回文化庁メディア芸術祭・アート部門)[LINK]
EXHIBITION
RELATED LINK
- 2020.02 ARS ELECTRONICAレポート [メディア芸術海外展開事業]
- 2020.01 水野勝仁 「影のマスキングがバクルとサーフェイスとを引き剥がす」(連載第4回:サーフェイスから透かし見る)[MASSAGE]
- 2019.09 アルスエレクトロニカ2019で印象に残った作品|it's an endless world. [Hatena Blog]
- 2018.10 Untitled|偽日記@はてなブログ 古谷利裕 [Hatena Blog]